定期保険の保険料の経理処理、税務、仕訳を知ろう!(改正後)

生命保険

法人契約の保険に入る際に気になるのが経理処理です。

2019年6月28日に税制が改正され、定期保険は払った保険料に対する解約金の割合によって損金になる割合が異なってきます。

4種類の分類

定期保険の経理処理は、最高解約返還率によって分類されます。

最高解約返還率とは

返還率=解約返戻金÷累計払込保険料
この返還率が一番高くなる時

最高解約返還率資産計上期間資産計上額
(残額を損金参入)
取り崩し期間
50%以下全額損金全額損金全額損金
50%超70%以下保険期間の当初4割相当の期間保険料の4割保険期間の7.5割相当の期間経過以降
70%超85%以下保険期間の当初4割相当の期間保険料の6割保険期間の7.5割相当の期間経過以降
85%超下記の AかBのどちらか短い方
A:保険期間開始日から最高解約返還率となる保険年度
B:解約返還金額の年間増加額÷年間保険料>70%
となる最も遅い保険年度
当初10年間は
払込保険料×最高解約返還率×0.9
11年目以降、期間
払込保険料×最高解約返還率×0.7
解約返還金額が最高となる最も遅い保険年度以降満了まで

基本的には返還率が高いほど、最初の期間に損金で落とすことのできる割合は低くなり、最後の取り崩し期間では保険料に加えて取り崩し分が帳簿上の損金として扱われます。

それぞれの事例の場合に保険料うちどれくらいが損金になるのか、またその期間がどれくらい続くのかのイメージ図を作ったので、参考にしてみてください。


経理処理

それぞれの経理処理をみてみましょう。

保険料払込時

解約返還率50%以下の場合

全期間で全額損金で経理処理できるため、簡単です。

年間の保険料:1,000,000円 の場合

借方貸方
支払保険料  1,000,000円現金・預金 1,000,000円

解約返還率50%超70%以下の場合

・当初40%期間

上の図の通り最初の4割の期間は6割を損金参入できます。

年間の保険料:1,000,000円 の場合

借方貸方
支払保険料  600,000円
前払保険料  400,000円
現金・預金 1,000,000円
・中間の35%期間

この期間は全額損金参入になります。

年間の保険料:1,000,000円 の場合

借方貸方
支払保険料  1,000,000円現金・預金 1,000,000円
・最後の25%期間

取り崩し期間のため、支払っている毎年払う保険料に加えて今まで資産計上した前払保険料についても損金参入します。
ただしこの期間では解約金も減ってしまことが多いため、それ以前に解約する場合がほとんどのため、あまりこの会計処理が必要になる場面はないでしょう。

年間の保険料:1,000,000円 の場合

借方貸方
支払保険料  1,640,000円現金・預金 1,000,000円
前払保険料  640,000円

解約返還率70%超85%以下の場合

・当初40%期間

上の図の通り最初の4割の期間は4割を損金参入できます。

年間の保険料:1,000,000円 の場合

借方貸方
支払保険料  400,000円
前払保険料  600,000円
現金・預金 1,000,000円
・中間の35%期間

この期間は全額損金参入になります。

年間の保険料:1,000,000円 の場合

借方貸方
支払保険料  1,000,000円現金・預金 1,000,000円
・最後の25%期間

取り崩し期間のため、支払っている毎年払う保険料に加えて今まで資産計上した前払保険料についても損金参入します。
ただしこの期間では解約金も減ってしまことが多いため、それ以前に解約する場合がほとんどのため、あまりこの会計処理が必要になる場面はないでしょう。

年間の保険料:1,000,000円 の場合

借方貸方
支払保険料  1,640,000円現金・預金 1,000,000円
前払保険料 2,400,000円

解約返還率85%超えの場合

・当初10年

上の図の通り最初の10年に関しては 解約返還率 × 0.9 を資産計上して、残りを損金参入。

年間の保険料:1,000,000円
解約返還率:90% の場合

借方貸方
支払保険料  190,000円
前払保険料  810,000円
現金・預金 1,000,000円
・二番目の期間

上の図の通り最初の10年が終わった後で、「最高解約返還率になるまで」か「増加する返還金の割合が70%超えまで」の期間は最高解約返還率×0.7を資産計上して、残りを損金参入。

年間の保険料:1,000,000円
解約返還率:90% の場合

借方貸方
支払保険料  370,000円
前払保険料  630,000円
現金・預金 1,000,000円
・解約返還金額が一番高くなるまで

この期間は全額損金参入になります。

年間の保険料:1,000,000円 の場合

借方貸方
支払保険料  1,000,000円現金・預金 1,000,000円
・残り期間

取り崩し期間のため、支払っている毎年払う保険料に加えて今まで資産計上した前払保険料についても損金参入します。
ただしこの期間では解約金も減ってしまことが多いため、それ以前に解約する場合がほとんどのため、実際にこの会計処理を行うことはほとんどないでしょう。

年間の保険料:1,000,000円
期始資産計上額:30,000,000円
残り期間が10年 の場合

借方貸方
支払保険料  4,000,000円現金・預金 1,000,000円
前払保険料 3,000,000円

途中解約時

解約返戻金として振り込まれた金額から資産計上した額を引いた金額が雑収入になります。
解約金よりも資産計上額が多ければ雑損失になります。

解約返戻金:12,000,000円
資産計上額:10,000,000円 の場合

借方貸方
現金・預金  12,000,000円前払保険料 10,000,000円
雑収入    2,000,000円

保険金受け取り時

保険金を受け取り、儲かった金額に関しては基本的に雑収入になります。前払保険料として資産計上しているものがあれば、保険金との差額が雑収入になります。

保険金:50,000,000円
資産計上額:10,000,000円 の場合

借方貸方
現金・預金  50,000,000円前払保険料 10,000,000円
雑収入   40,000,000円

参考

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